映画「ラウンド・ミッドナイト」を観た

 バド・パウエルがモデルになった、ジャズミュージシャンが主役の映画。バド・パウエルは実際はピアノなんですが、この映画の主人公のデイル・ターナー(架空の人物)はサックス奏者として描かれています。時代背景はおそらく1960年代、当時アメリカで一種のジャズ不況が訪れたときにミュージシャンたちがヨーロッパに活躍の場を求めて移住するところを描いています。
 主人公はニューヨークから自分の音楽が通用するパリに移住し、毎日クラブで演奏している。かつての一世を風靡した栄光にすがりつつ、アルコールで心も体もボロボロ、その日その日をやっと生きている状態。病院に運ばれることもしばしば。
 あるとき彼の往年のファンだった一人の貧乏な画家(お金がなくクラブに入れず店の外から音を聞いている)が、演奏が終わった彼にビールをおごったことから仲良くなり、そのうち主人公の身の回りの世話までする親友に。彼に助けられ自分の状態が少しずつ立ち直っていく、という一人のジャズ・ミュージシャンの人生(特にピークを過ぎたあとの)をリアルに描いた映画。
 ちなみに主人公デイル役のデクスター・ゴードンも本業はサックスのすごいミュージシャンらしく、本人も主人公と同じくヨーロッパに一時期活動の拠点を移していたことがあるそうです。この映画で初めて俳優業をし、いきなりアカデミー主演男優賞にノミネートされたそうです。ジャズに興味のある人は、その当時の時代背景も含め、興味深く見られると思います。

ラウンド・ミッドナイト