「白い犬とワルツを」

 非常に心温まる物語でした。以下ネタバレ。

 頑固で偏屈なじいさんが主人公。永い間連れ添った伴侶である奥さんを亡くしたあとに、その喪失感で心にポッカリと穴が開いてしまったジイさん。あるとき自分の目の前にいつの間にか白い犬が現れる。家族の反応を見てみると、どうやらこの犬は自分にだけ見えるようだ。自分になついて来たその白い犬を飼い始め、可愛がることによって自分の心を癒されていくという話。


 ジイさんは犬に話しかけたり一緒に遊んだりするのですが、犬の姿を見ることができない娘達は、「ジイさんがボケたのではないか」と取り越し苦労をする始末。そういう様子がなかなか面白かった。後半の犬とワルツを踊ってるシーンが読んでるだけでもイメージが頭に浮かんできて、思わず微笑んでしまう人も多いでしょう。片方の足が悪くて歩行器を使ってるのに自分のペースを守ってるというのも良かったね。人に迷惑をかけても良いんだよってこの作者が言ってるような気がしました。


 日常生活に疲れた人や、何かで心をすり減らしている人にもぜひお勧めです。そんで、すぐに読めるので気分転換にもってこいです。やさしい気持ちになれますよ〜。
白い犬とワルツを