「管仲」

 宮城谷昌光著。昔読んだマンガや他の宮城谷本、十八史略でどんな人かはほとんど知っていたんですが、宮城谷氏の切り口で読むとまた格別ですね。管仲というのは中国・春秋時代の最初の覇者となった斉の国の桓公という君主に仕えた名宰相のことで、かの諸葛亮孔明も尊敬したそうです。管仲とその友人鮑叔との友人関係がのちに「管鮑の交わり」ということわざになりました。非常に親密な友情のことです。


 管仲と鮑叔は若いころから仲がよく、お互いにその才を認め合っていました。斉の国で仕官した二人はホントは一緒に一人の君主を支えたかったんですが、成り行き上それぞれ違う公子(君主の子)に仕えることになります。管仲が公子糾、鮑叔が公子小白(のちの桓公)をそれぞれ補佐しているんですが、あるとき君主が死んで跡継ぎ争いが起こります。糾、小白ともに国外に逃げるんですが、最終的に君主の座を二人が争うことになります。先に斉の都に着いた方が君主になるということで、それぞれ都に急行します。公子糾に仕える管仲が小白を暗殺しようと一団に近づき、小白に矢を射てそれがうまく当たります。


 死んだと思われた小白でしたが、管仲の矢は彼の金属製のバックルに当たって九死に一生を得ることになります。小白が死んだと思って油断した糾を出し抜いて小白が斉の都に着き、桓公として即位し君主となります。その後、糾を処刑した桓公でしたが、糾の腹心だった管仲を処罰しようとします。しかし、鮑叔が管仲の才能を国に活かすように桓公に進言し、そこから名君主桓公と名宰相管仲が手を取り合った斉の快進撃が始まるわけです。チャンチャン。
管仲 上管仲 下