やる夫で学ぶモダン・ジャズ その6

?1960年代 ファンキー・ジャズ、フリー・ジャズ新主流派の3流派のせめぎ合い(モダンジャズの総決算)

【2つの流れ ファンキー・ジャズとフリー・ジャズ】   
50年代前半に出現したハードバップ。このハード・バップが起点となり、その後10年間でジャズの理論や演奏スタイル、サブジャンルが大幅に開拓されました。こうしてモダンジャズは50年代後半までには世界中で市民権を得ます。しかし進化が終わり完成させてしまったが故に、60年代に残されたミュージシャンたちは目新しい挑戦が出来なくなってしまいます。果たして彼らはどんな方法で新しいジャズを見つけ出すのでしょうか…

【ファンキージャズ】
ここからは紹介形式を少し変えて、3人の「60年代の主役」にスポットをあてて進行していきます。彼らのバンドが60年代のジャズをけん引したと言っても過言ではありません。

一人目はすでに紹介したアート・ブレイキー。彼はジャズ・メッセンジャーズを54年に結成して以来、様々な新人を起用し若手の教育に力を注ぎました。といっても何か特別な特訓をする訳ではなく、若手の作曲やアレンジを積極的に起用し活躍の場を与えられるように彼らをアシストするのが主な役回りでした。その結果として出来たのが、先程も紹介したファンキー・ジャズです。こうして60年代にはジャズ・メッセンジャーズの卒業生が中心となってファンキー・ジャズがメイン・ストリームの座につきます。
結成メンバーの一人ホレス・シルヴァー(ピアノ)、ファンキーの代表作「ナットヴィル」、「シスター・セイディ」

ブレイキーと最初期に共演したルー・ドナルドソン(アルトサックス)スタンダードもファンキー風に「バイ・バイ・ブラックバード」、「ア・フォーギー・デイ」

そしてギターの登場!グラント・グリーン(ギター) 。(同じフレーズをひたすら繰り返すスタイルがまさに「ファンキー!」です)
「マイ・フェイヴァリット・シングス」、「ソー・ホワット」

またギターやオルガン、ヴィブラフォンなど、それまであまり表に出てこなかった楽器もブルースやゴスペルのニュアンスを引き出すために多用されています。
              
さて次々と若手を世に送り出したブレイキーですが、59年から61年にかけてメンバーを一新します。フレディ・ハバート(トランペット)、ジダ―・ウォルトン(ピアノ)、ウェイン・ショーター(サックス)などでした。このすぐ後に彼らがいわゆる「新主流派」を生みだします