やる夫で学ぶモダン・ジャズ その3

後半で紹介する3人の率いるバンドは、ハード・バップの演奏方法・理論を進化させ、ジャズの表現方法を飛躍的に発展させました。まずはアート・ブレイキ―&ジャズメッセンジャー

「コンファー・メーション」

「モーニン」

彼の率いたバンド、メッセンジャーズは30年以上活動し、その間多くの名演奏家を輩出しました(クリフォードもその一人です)。54年の演奏(動画の1つ目)はハード・バップ隆盛のきっかけになり、50年代後半はハード・バップに黒人のゴスペルやブルースフィーリングを加えたファンキージャズの演奏(2つ目)を多く残しました。この曲は発表当時の日本でもヒットし、61年の来日公演後ファンキージャズが流行りました。彼自身も親日家のため、日本人と馴染みのある演奏者といえます。そのためメッセンジャーズ=ファンキーと考えている方も多いのではないでしょうか。


続いて紹介するのはピアノのビル・エヴァンス。彼の演奏はハード・バップにはあまり聴こえないかもしれませんが、ジャズの演奏方法に大きく貢献したため、敢えてここで紹介します。
「ワルツ・フォー・デビー」

「ステラ・バイ・スターライト」

彼は印象画のような抽象的な表現が得意で、バド・パウエル以来最もジャズ・ピアノに影響を及ぼしたピアニストの一人です。これまでのピアノ・トリオはピアノ=主役、ベース、ドラムス=わき役というイメージでした。彼のトリオは全員が対等の関係でお互いの対話(インター・プレイ)を中心にアドリブが展開する点が最大の特徴です。
彼のトリオのベーシストは59年から61年に在籍したスコット・ラファロが最も有名です。エヴァンスとの共演はベースに裏方としての役割だけでなく、主要ソロ楽器としての可能性を与えましたしかしそんな彼もラスト・レコーディングから11日後に交通事故で亡くなってしまいます。25歳の若さでした。


最後はマイルス・デイヴィス。50年代は歌ものの曲でミュート(弱音器)を多用し繊細なニュアンスが生かされている演奏を多く残しました 。
「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」

「バイ・バイ・ブラックバード

  
彼はビ・バップ時代から50年間に渡って活躍し「モダン・ジャズの帝王」と呼ばれています。ハード・バップの作曲やアレンジ、既存の歌謡曲のジャズ・スタンダード化、新しい奏法理論の導入、ロックやファンクとジャズの融合などジャズの歴史に多大な影響を与えました。